2024年度(2025年2月実施)受験総括
高校受験の総括(人の流れ編)
目次
① 募集が減った!
② そもそも名古屋志向が強い!
③ 実際に定員減の高校は激戦だったか?
④ 定員割れはどうだったのか?
⑤ まとめ 2026年以降の受験はどうなるのか?
2025年度の公立受験が2月27日に行われ、3月11日に合格発表となりました。今年度の高校入試はどうだったのか、昨年やこれまでの受験とどう変わったのか、今回は全体の受験者についてお伝えします。
【募集が減った!】
そもそも今年度の受験では、名古屋市内の中学3年生の生徒数が減少したことにより、公立高校側もクラスを減らす高校が多くありました。
代表的なところで
≪名古屋地区≫ 松蔭高校、中村高校、天白高校、名古屋南高校、山田高校
≪尾張地区≫ 小牧南高校、一宮北高校
などです。また新設学科を始める惟信高校(未来探求)と美和高校(地域探求)が、普通科クラスを1クラス(40人)分減らしました。
今回は名古屋の高校を中心に、激戦が起こることが予想されていましたが、結果はどうだったのでしょうか。
【そもそも名古屋志向が強い】
上記に挙げた「名古屋地区」5校は、そもそも人気校。定員割れとは程遠いところにいる学校です。そもそも名古屋市内で定員割れをする学校は非常に少ないのです。
定員割れの一番の原因が「交通の便が悪い」という点からも、名古屋市内の高校の多くの高校が定員割れはしないのです。逆に名古屋市周辺の地域から、名古屋市内に生徒が流れ込んできているおかげで、郊外の公立高校は厳しい状況に立たされています。
最近では私立高校への受験者・進学者も増加しているので「電車で名古屋に行く」という行動にハードルを感じない子が増えてきているんだと思います。
【実際に定員減の高校は激戦だったか?】
それでは「名古屋地区」で定員減として挙げた5校についてみてみます。
[高校名]-[今年度志願者]―[今年度倍率]―[前年度倍率] となります
[松蔭高校] ― [835] ― [3.08] ― [2.76]
[中村高校] ― [779] ― [3.15] ― [2.55]
[天白高校] ― [946] ― [3.14] ― [2.64]
[名古屋南高校] ― [568] ― [2.21] ― [2.48]
[山田高校] ― [626] ― [2.58] ― [2.00]
このような結果になりました。名古屋南高校以外は、なかなか厳しい倍率になっていますね。名古屋南高校は、近いレベルの高校も多いので、そちらに流れたようで、比較的近くにある「熱田高校」は[2.83]→[3.21]へとかなり増加しています。
定員減となった高校はもともと人気校であったこともあり、急に志願者が減る、ということもなく倍率が上がってしまいました。
【定員割れは減ったのか?】
ここ数年2000人台で推移していて問題になっている、公立高校の定員割れ。今年はどうだったかというと2408人!増えとる!
ちなみに昨年は2059人、その前は2339人。ここ3年間で一番多い!
ちなみに定員を減らしている高校が
松蔭
名古屋南
中村
天白
山田
緑
小牧南
五条
一宮北
津島
常滑
瀬戸北総合
愛西工科
と計14校 560人分定員を減らしているので、そりゃそうか、という感じです。
【2026年以降の入試はどうなるのか】
この話をする前に、まず愛知県の公立高校の定員の決め方について概要を知らなければなりません。
公立高校はそもそも「地域に一校あるもの」という意味合いで作られています。もともとレベル差や志願者数はあまり考慮されず「みんなが通える高校」ということだったんですね。それが現在のようにレベル差ができ、人気校、電車通学がしにくい、などの理由で志願者に大きく差が出てしまっています。
しかし、生徒数の増減については「地域の中学3年生の数」が大きな要因となって、生徒数の増減が決まります。「不人気校で定員割れしたからすぐに定員を減らそう」ということではないんですね。三河地区では子供の数の減少が少ないので、今回も募集人員が減った高校はなかったはずです。
現段階での定員割れの原因は「子供の人口の減少」より「私立高校・通信高校への進学者の増加」の要素が強いです。
その中で、今回「私立高校の無償化」の動きが加速しています。今以上に私立高校への進学を希望する家庭は増えることでしょう。そうすると公立高校への進学者は相対して減少していきます。
結果として、これまで同様に人気校へ倍率は変わらず、郊外の定員割れをしてしまっている高校は回復することが難しくなるでしょう。